『ホモ・サピエンスの涙』をより楽しむために – この映画の基礎をなすモチーフとなった名画たち

ロイ・アンダーソン監督『ホモ・サピエンスの涙』のレポートを昨日アップしました。
『ホモ・サピエンスの涙』 – 博物館の「人間コーナー」に飾るべき映像集【11月20日公開作品】

こちらで人を選ぶ作品と評しましたが、もうひとつ。
短編集のような構成になっているため(仮に予告編を観ても)ハイライトを感じにくい難しさがあると思います。

ひとつ分かりやすいハイライトをつくるに、本作ではいくつかの場面においてモチーフになった絵画が存在します。絵画はあるストーリーの瞬間を切り取り描いたものです。観る側の人間は、そこから逆算してストーリーを頭の中で連想させます。

ロイ・アンダーソン監督の想像したストーリーはどうだったのか。モチーフになる絵画を紹介しますので、ぜひロイ・アンダーソン監督の頭の中を覗くという楽しみを持って劇場に行くのも、ひとつ楽しめるやり方かなと思っております。

それらの絵画を簡単に載せておきます。

僕個人としてはこれを知ってたらテンション、映画への思考的な積極性が違っていたかなと思うので、少しでも役立ってくれればうれしいです。

 ※絵画について
  左側がモチーフ、インスパイアされた絵画。右側が『ホモ・サピエンスの涙』の劇中にある該当シーン。
  劇中のシーンは劇場でぜひ観てストーリーを味わってほしいです。絵画の説明は引用して補足してあります。

「 街の上で 」 マルク・シャガール

「街の上で」は、1918年にベラルーシ・リオスノで完成した。ロシアの首都・モスクワにあるトレチャコフ美術館で現在展示されている。シャガールは、浮遊する自分自身と妻のベラを描いた作品を作成した。本作品は二人の結婚の記念として描かれた。『街の上で』は、シャガールが幼少時代に育った小さな町であるビテブスクの上を妻と一緒に幸福の翼に乗って飛ぶ様子を表現している。シャガールは空中で妻を抱きかかえ、妻のベラは片手を空気をつかむように手を上げている。

MUSEY

「 1581 年 11 月 16 日のイワン雷帝とその息子イワン」イリヤ・レーピン

「1581 年 11 月 16 日のイワン雷帝とその息子イワン」
『ホモ・サピエンスの涙』

イリヤ・レーピンがロシア皇帝アレクサンドル2世の暗殺事件(1881年3月1日)に触発され描いた作品
イワン雷帝は親子喧嘩で息子を殺してしまったと考えられている。喧嘩の原因はイワン皇子の妊娠中の妻が部屋着姿でツァーリの前を通ったことだったという(肌着をツァーリに見せることは極めて侮辱的な行為だった)。また別の説では、2人の政治的な意見の食い違いが口論の原因となったという。とにもかくにも雷帝は職杖を振り、意図せず息子の頭を殴打してしまった。流れ出す血を必死に止めようとしたが無駄だった。27歳のイワン皇子は、唯一の健常な皇位継承者だった。弟のフョードルには知的障害があったと考えられている。この作品には、死の淵にあるイワン皇子が、錯乱状態にあるイワン雷帝の肩を右手で厳粛に握り、父の暴力を赦している様が描かれている。

RUSSIA BEYOND

「 The End 」ククルイニクスイ

旧ソ連の画家のグループ名。クプリヤノフM.V.Kupriyanov〔1903-1991〕,クルイロフP.N.Krylov〔1902-1990〕,ソコロフN.A.Sokolov〔1903-2000〕の3人の名前を合わせたもの。1924年以来共同執筆による漫画を発表,《プラウダ》の時局漫画も担当。ゴーリキーチェーホフらの小説の挿絵を描き,また各自独立した画家としても活躍した。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて (コトバンク)

絵画のみならず他にも、楽曲をモチーフに創られた場面もあります。
『ホモ・サピエンスの涙』 – 博物館の「人間コーナー」に飾るべき映像集【11月20日公開作品】
こちらでも書いたシャンパンを飲む女性を見つめる男性の場面でも背景にBGMが流れています。

Spotifyで配給会社のビターズ・エンド(BittersEnd)が『ホモ・サピエンスの涙』トラックをまとめてくれていますので、事前に聴いてみるのも一興だと思います。

Spotify
【収録楽曲】
『All of Me』
『Norma / Act2:Mira, o Norma』

ぜひ、こちらが映画を楽しむためのお役に立つ情報であることを祈ってます。

[関連リンク]『ホモ・サピエンスの涙』 – 博物館の「人間コーナー」に飾るべき映像集【11月20日公開作品】