『アフター・ラブ』同じ男性を愛した妻と愛人の愛の物語【東京国際映画祭レポート】

イギリスに住むパキスタン人の夫を持つ妻。夫のために改宗し、生活様式も風習も合わせ、子どもはいないが、幸せに暮らしていた夫婦生活。突然に夫を亡くす。
夫の財布から出てきた女性のカード。携帯電話に残るその女性とのメッセージ。気になりドーバー海峡を渡り、彼女の家に赴くと、家政婦と間違われ仕事を引き受ける羽目に。

家の中で見る女性は最初は自分とは違い女性らしく、なにより自分と夫は叶わなかった子どもの存在。
イギリスに住む子どものいない妻とフランスに住む子供のいる愛人。

お互いにないものを持ち、お互いにお互いを羨むが、お互いが愛した人はもうこの世にいない。

冒頭で夫がなくなり、序盤はセリフがほぼなく、静かな空気感で物語が進んでいく。

喪失感が伝わる思い空気感、そこから愛人への羨む気持ちを隠せず化粧をしてみたり、子どもへ優しくしてみたり会話が徐々に増えていく。愛人への恨みと妬み、子どもへの感じる愛情、様々な感情を押し殺しているのが理解できる。

この映画は愛の映画です。

私の言葉の連なりでは少し暗さが強調されてしまうかもしれませんが、画面から伝わってくる空気感は意外と暖かいです。あれはなんででしょう。言葉にするには難しいです。

ポジティブで、ハッピーで、この愛の形は心地よくも感じます。天国で夫は妻に殴られること間違いありませんが。

時に愛する人が自分に無情なことをしてたり、突如としてそれを知ったり、誰も悪くないのに誰かを憎んだり、そういった人生の不条理の中にも愛が生まれる瞬間があることを感じさせてくれる映画でした。

『アフター・ラヴ』クリップ|After Love – Clip|第33回東京国際映画祭 33rd Tokyo International Film Festival